外国人技能実習生ニュース

外国人技能実習制度や協同組合、技能実習生送出機関に関するニュース・コラムです。

外国人技能実習制度の本音と建前

2015/3/27 BLOGOS

 

外国人技能実習制度の改正と、それに伴う入管法の改正について審議をする予定です。 既に自民党の部会の了承は得たものの、論点が多々噴出し、厚生労働・法務の両部部会長により別のステージで整理をすることが確認されています。

技能実習制度は、途上国に対する技術移転といういわば国際貢献であることが大前提です。 しかし、これが形骸化し現場においては、安い労働力の確保、送り国側からすれば、お金儲けの方法手段という側面が排除できず、本音と建前が複雑に入り組んでいるというのが現状です。

現在技能実習は3年間と期間が区切られていますが、受け入れ企業が一定の基準をクリアし、優秀企業と認められた場合は、一旦帰国をすることを条件に、あと2年間延長して実習に関わることができることが盛り込まれています。

また、受け入れ企業に対する監督責任も厳格なものとなり、例えば、実習生に対して賃金を不払いとしたり、劣悪な労働環境を強いたりの行為を行えば罰則を与 えるものとすることも盛り込まれています。 ただ、いままでこの罰則がなかったというのも不思議でなりません。 社会問題化するはずだと妙に納得してしまいます。

私はこの外国人技能実習制度の理念に関しては賛同するものですが、果たしてその理念通りとなっているかどうかについて大いなる疑問を持っています。

現場、つまり外国人を受け入れる企業の全てではありませんが、企業の本音をお聞きすると、やはり労働力の確保なのです。 「もう、”何色でもいいから”外国人を雇いたい、賃金が安いからねぇ」と、「この企業で働く実習生は気の毒だな」と即時感ずる企業経営者からの酷い本音を 聞いたこともあります。

厚生労働省にこの実態について触れますと否定しません。 実態把握はなされているのです。 しかし、あくまでも労働者ではなく、国際貢献たる技術移転だと建前ばかり言い張るのです。

この際、建前ではなく本音の部分として、労働力として受け入れるというならば話は変わってきます。 ただ現状では受け入企業の人権などに対する意識の高さは、まだまだ充分とは言えないようです。

想像するに、東京オリンピックを控えてそのインフラ整備などに大量の労働力が必要な今、国内労働力で賄うよりは、いっその事大量の労働者を受け入れて儲けたいという、財界からの政治に対する要望があるのだと確信しています。

それはそれで正論とも思います。 しかし、これまでの制度の諸課題は放置されたままであり、慎重に議論することが必要です。

理由は二つ。

ひとつは、過去の外国人技能実習生のフォローアップを全くしていないのです。 つまり、国際貢献が目的であるのにその検証がなされていません。 3年間の技能実習を終えた外国人が帰国をした後、その後どんな職業についたかのアンケート調査はしているのですが、回収率はたったの15%。 そのアンケートも、どんな職種についているかだけで、技能実習を受けた業種と同じ業種なのかの繋がりが見えません。 また、技能実習制度が役に立ったか否かなどという非常に単純な質問もあり、とても検証データが取れるものでもありません。

今一つは、平成25年度に、技能実習生として入国するものの、3500人以上が行方不明になっているのです。 「どこへ行ったかわからない」のです。

因みに、
21年は約1400人、
22年は約1300人、
23年は約1500人、
24年は約2000人という現状。
累計するとなんと約9700人です。 信じられない数字です。 さて、彼らは今頃どこで何をしているのでしょうか???

これらを放置しているという現状、治安の悪化に関して全くと言っていいほど危機感がないと言えると思います。

行方不明の外国人実習生のすべてとは断言しませんが、意図的に実行されているケースもあるでしょう。 彼らの多くがどんな手段で今日本にいるのか趣味レーションしてみましょう。

逃げ出した彼らが難民申請をするとします。 6ヶ月程で結果が出るのですが、基本的に認定などされるはずがありません。 しかし、異議申し立てという方法があり、もう一度難民申請をします。 実は6ヶ月を経過すると、次回結果が出るまでの期間、就業が認められるのです。 これを繰り返すのです。

実はこのケースが実際に考えられるかどうかを、入国管理局に質しました。 答えは考えられる、でした。 申請が出た時点で脱走した実習生かどうかの確認も、偽名を使えばわからないのです。

我が国の難民認定は非常に厳しいという指摘をされていますが、私は今のままのスタンスでいいと思っています。 しかし、厳しい一方で、申請をして不服申し立てをすれば何度でも日本国内にいることができるという現状は頂けません。

技能実習生の目的である建前を愚直に実行するならばそれも良しですが、その体制になっていない以上適切な措置を講ずる必要があります。 本音で労働力として受け入れるならば人権侵害を恣意的に主張されても一蹴できるだけの環境を整える必要があります。

因みに、外国人技能実習生の7割は中国人です。 逃亡するのも中国人が7割です。

今回の改正、現状では中途半端です。 審議は4月の下旬になると思いますので改めてその議論経過はメルマガにて明らかにしたいと思います。