外国人技能実習生ニュース

外国人技能実習制度や協同組合、技能実習生送出機関に関するニュース・コラムです。

ベトナムから農業実習生…受け入れ本格化

2015/04/06 読売オンライン茨城版

 

 県がベトナムとの間で締結した覚書などに基づく、ベトナム人農業技能 実習生の受け入れが本格的に始まった。JA県中央会が設立した受け入れ先の「協同組合エコ・リード」は、今後3年間で約300人を希望農家に配属する計 画。農業技術を伝え、人手不足に悩む農家の労働力確保にもつなげたい考えだ。

 第1団として、20~30歳の男女19人が2月に来日。同国の国営企業「SONA」からエコ・リードを介して3月24日に結城、つくば、坂東3市の野菜農家9軒に配属され、3年間にわたり実習を行う。

 県は昨年3月、農業分野に大きな関心を持つ同国のチュオン・タ ン・サン国家主席が来県した際、県による技術者の育成支援や、技能実習生の受け入れ推進などが盛り込まれた覚書を締結。これを受け、JA県中央会は同5 月、同国と農業技能実習生の受け入れに関する協定書を取り交わした。

 外国人技能実習制度は、発展途上国の外国人を受け入れ、日本で働きながら技術を学んでもらう制度。安価な労働力を確保できることから、農業や製造業などの人手不足を補ってきた。

 茨城労働局によると、昨年10月末時点で、県内で「技能実習」 の在留資格を持つ外国人労働者は7222人おり、このうち農業分野での受け入れが半分ほどとみられている。国籍別では、中国人が全体の6割と圧倒的に多い が、代わる人材として近年期待されているのが、まじめで親日的と言われるベトナム人だ。

 結城市の農家に配属されたグェン・ヴァン・トさん(23)は「農業全体の経験を積んでベトナムの発展のために尽くしたい」と抱負を語った。

 JA県中央会によると、エコ・リードでは今年8月までに最大で83人を受け入れ、将来的には畜産農家への派遣なども検討する。また、県からの補助を受けて今年度、ベトナム語版と日本語版の「農業技術読本」を各400部作成する予定だ。

 受け入れ農家との対面式が行われた先月24日には、SONAの ダン・フイ・ホン社長兼会長と実習生らがJA県中央会と県庁を訪問。県庁では橋本知事が、「皆さんはベトナムと茨城の交流を深める一番先を走っているラン ナー。3年間が実りあるものになることを期待します」と激励した。

 一方で、関係者には不安もある。実習生の失踪が後を絶たないためだ。2013年には、県内で293人が失踪。そのうち中国人が167人を占めたが、ベトナム人も58人いた。

 JA県中央会の加倉井豊邦会長は24日に行われた歓迎会で、「皆さん方は国の威信を背負っていると自覚してほしい。黙っていなくなればこれから来る人に迷惑をかける。もし不満があれば早く言ってほしい」と呼び掛けた。