技能実習生の受入れに関する新法案が国会審議へ 介護実習生も加わりASEAN諸国も熱い眼差し
2015/04/30 月刊人材ビジネス
外国人技能実習生の受入れ態勢を整備する新法案が3月6日、閣議決定され国会審議に付された。厚生労働省は会期末までに成立をめざす方針だ。
新法案の名称は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」であり、厚生労働省と法務省が共同提出している。
同法案の概要によると、「外国人の技能実習のおける『技能等の適正な習得等の確保』及び『技能実習生の保護』を図る」のが目的。そのために、技能実習を実 施する者及び実施を監理する者並びに技能実習計画についての許可等の制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設ける等の所要の措置を講 じる」となっている。
同法案の概要は以下の通りだ。
1.技能実習制度の適正化
(1)技能実習の基本理念及び関係者の責務規定を定めるとともに、技能実習に関して基本方針を策定する。
(2)技能実習生ごとに作成する『技能実習計画』について『認可制』とし、技能実習生の技能等の習得に係る評価を行うことなどの認定の基準や認定の欠格事由のほか、報告徴収、改善命令、認定の取り消し等を規定する。
(3)『実習実施者』について『届出制』とする。
(4)『監理団体』については『許可制』とし、許可の基準や許可の欠格事由のほか、遵守事項、報告徴収、改善命令、許可の取り消し等を規定する。
(5)『技能実習生に対する人権侵害行為』等について禁止規定を設け、違反に対する所要の『罰則を規定』するとともに、技能実習生に対する『相談』や『情報提供』、技能実習生の『転籍の連絡調整』等を行うことにより、技能実習生の保護等に関する措置を講ずる。
(6)『事業所管大臣等に対する協力要請』等を規定するとともに、地域ごとに関係行政機関等による『地域協議会』を設置する。
(7) 『外国人技能実習機構を認可法人として新設』し、.(2)の技能実習計画の認定、b.(2)の実習実施者と監理団体に報告を求め、実地に検査する、c. (3)の実習実施者の届出の受理、d.(4)の監理団体の許可に関する調査――等を行わせるほか、技能実習生に対する相談と援助等を行う。
2.技能実習制度の拡充
優良な実習実施者と監理団体に限定して、『第3号技能実習生の受入れ(4~5年目の技能実習の実施)』を可能とする。
3.その他
技能実習の在留資格を規定する出入国管理及び難民認定法の改正を行うほか、所要の改正を行う。
4.施行期日
施行日は、平成28年3月31日までの間において政令で定める日。ただし、外国人技能実習機構の設立規定については公布の日とする――。
なお、政府は同日、在留資格に『介護』を設ける出入国管理法改正案も閣議決定しており、外国人技能実習法案の施行と共に来年度から介護実習生の受入れが本格化する。
現在、技能実習生の受入れ方式は団体監理型と企業単独型があり、今後について関係者は「後者の増加が見込まれる」と話している。日本の人口減少に伴う労働 力の調達方法の1つに実習生の受入れに関心が高まっているが、新法案が施行されれば許可制となり、悪質な団体監理者は改善命令を受けるほか許可も取り消さ れることになる。
技能実習生の受入れ組合は現在約2千あるというが、淘汰が始まるのではないかとの声が聞かれる。