外国人技能実習生ニュース

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相次ぐ外国人技能実習生失踪 でも受け入れ停止措置ゼロ 現行規定は空文化

2015/05/15 産経ネット

 

 日本で働きながら技術を学ぶ「外国人技能実習制度」をめぐり、各地で実習生の失踪が相次いでいるにもかかわらず、失踪者を出した団体・企業への新規受け入れ停止措置が過去5年間で一度も行われていないことが15日、法務省入国管理局への取材で分かった。

  法令上、受け入れ先に失踪の責任があることが措置の前提になっているが、いなくなった実習生を捜し出して理由を聞くこともできず、どちらに責任があるか見 極めが困難なため、停止措置の適用が難しいことが背景にあるとみられる。現行規定は事実上空文化しており、実効性のある対策が求められそうだ。

  入管難民法に基づく省令では「行方不明者の多発」を不正行為として規定。過去1年間に受け入れた実習生の失踪が一定数に達した団体・企業は、新規受け入れが3年間停止されることになっている。

 だが、平成22~26年の5年間に受け入れが停止された団体・企業はゼロ。さらにさかのぼっても適用事例は数件しかないという。

 入国管理局の担当者は「実習生から話が聞けないと、なかなか事実認定に至らない。調査に強制力もない」と説明する。

 ただ、失踪が多発しているような団体・企業の場合、賃金未払いなど他の不正行為があることも多いとして「別の法令違反を適用して、受け入れを止めている」と話した。

 入国管理局によると、実習生の失踪は23年から毎年増加しており、26年は過去最多の4851人が行方不明となった。

 在留期限が切れ、不法残留状態になっている実習生も今年1月現在で2831人(前年比66・6%増)に上り、5年以降一貫して減少していた不法残留者数を、約22年ぶりに押し上げる要因になっている。