外国人技能実習生ニュース

外国人技能実習制度や協同組合、技能実習生送出機関に関するニュース・コラムです。

「最低賃金が可能」「残業、休日出勤は喜んで!」 外国人実習生に関するFAXが舞い込んできた

2016/01/06 J-CASTニュース

 

   外国人技能実習生を最低賃金で雇うことができます――。こんな内容のFAXが会社に送り付けられてきたとツイッターで紹介され、ネット上で批 判が相次いでいる。送付側は、取材に対し、ほとんどの企業がそうしていると認めながらも、「仕事ができれば、給料を上げている」と説明している。

   「これやばいだろ、、、」。あるツイッターユーザーは2016年1月5日、FAXの画像をアップして、こう溜め息を漏らした。

 

   その画像では、FAXは「外国人実習生の雇用をよろしくお願いします」とあり、 「給与は最低賃金が可能」と下線を引いて強調されていた。時給の具体例として、栃木県は751円、茨城県は747円、群馬県は737円と紹介されていた。 しかも、「毎月の家賃光熱費は実習生負担です」とあり、働く側にとってはかなり過酷な内容になっている。

「実習生は基本仕事を休みません!途中で辞めません!マジメで素直です!残業、休日出勤は喜んで仕事します!」

   線で囲んで、こうも強調されていた。実習生は、ベトナム人、中国人になるとしている。

   前出のツイートは、大きな反響を集め、6日夕現在で1万件ほどもリツイートされた。

   「最低時給払うならいいだろ」「正直でよろしい 嘘の方が怖い」と理解する向きもあったが、疑問や批判の方が多い。「最低賃金可能とかさすがにどうかと思うな」「安価な労働力とだけしか見てない」「背筋に冷たいものが走った」といった反応だ。

   外国人技能実習生は、国の制度で、全国で15万人ほどがいる。制度そのものへの批判も出て、「そもそも外国人実習制度がブラックだ」「こういうの日本の恥です」「制度を見直すべきでは」などと書き込まれている。

「仕事ができれば、給料を上げている」

   前出のFAXを送った埼玉県内の団体の主宰者は、ネット上の批判について、「ネガティブなところしか見ていない」と反論し、法律を守ってやっ ていると強調した。この主宰者は、実習生受け入れをサポートしている同じ埼玉県内の協同組合などの委託を受け、1年ほど前から受け入れ企業を月1回巡回する管理業務をしている(筆者注:違法行為です)という。

   主宰者は、ほとんどの企業は、実習生を採用した1年目は、最低賃金で雇っているのが実態だとし、「仕事をちゃんとやってくれれば、企業も給与を上げています」と説明した。

   実習生が残業や休日出勤をした場合は、法律に基づく割増賃金を支払うよう企業にお願いしているともした。病気などの場合は、休みも取れるという。

「実習生本人は、仕事を休みたがりませんよ。もっと稼ぎたいという思いが強く、その意味で書きました。最低賃金でも喜んでおり、残業代なども出ますので、いい給料をもらっていると思います」

   この主宰者に管理業務を委託している埼玉県内の協同組合では、取材に対し、理事長が次のように説明した。

「確かに、ほとんどの企業が最低賃金で雇っていますが、仕事ができれば給料は上げています。最低賃金のことを言い出せば、制度そのものが崩壊してしまいますよ。各企業が実習生の給与から家賃や光熱費の一部を引いているのは確かですが、法律に基づいてやっています」

   ただ、主宰者が送ったFAXについては、不愉快にさせるような内容なら止めるように本人に伝えたことを明らかにした。主宰者は、今後は前出のような内容のFAXを送らないかについては、「お答えできません」としている。