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外国人技能実習生ニュース

外国人技能実習制度や協同組合、技能実習生送出機関に関するニュース・コラムです。

失踪の外国人実習生 400人余が難民申請

2015/10/18 NHKニュース

 

働きながら技術を学ぶ「外国人技能実習制度」で来日した外国人が、相次いで実習先から失踪したあと、去年400人以上が難民申請し、中でもミャンマー人は失踪した人とほぼ同数の100人以上に上っていたことが分かりました。難民申請から一定期間がたてば原則として就労が認められる制度を悪用しているものとみられ、専門家は「本来救うべき難民の審査に影響が出ており、制度の見直しが必要だ」と指摘しています。

 「外国人技能実習制度」は外国人に日本で働きながら職業技術を学んでもらうものですが、事実上、人手不足が深刻な業種で安い賃金で働く労働力を確保する手段になっていると指摘されています。また、低賃金や残業代の未払いなどから実習先の職場から失踪する実習生が相次ぎ、その数は去年1年間で4800人余りに上るなど大きな問題となっており、さらに、この数の1割近い414人が失踪後、難民申請していたことが分かりました。


中でも、ミャンマー人の申請者は106人で、失踪した107人のほぼ同数に上っていた実態が、NHKが独自に入手した法務省の資料から明らかになりました。
日本の難民認定制度では、生活支援のためとして申請から半年たつと原則として就労が認められていて、難民申請をした元実習生のミャンマー人男性はNHKの取材に対し、「できるだけ稼いで帰りたい」と話すなど、より高い賃金を求めて自由に仕事を選ぶために難民申請したとしています。


この問題に詳しい首都大学東京の丹野清人教授は「実習生に低賃金で仕事をさせていることが失踪につながり、難民申請が悪用されているとみられる。本来救うべき難民の審査に影響が出ており、技能実習制度そのものを見直す必要がある」と話し、救うべき難民の保護に影響が出ないよう対策を講じる必要があると指摘しています。

難民申請 より高い賃金を求めて

技能実習生として来日したあと難民申請したミャンマー人の男性はNHKの取材に対し、「難民申請して日本で働き、できるだけ多く稼いで帰りたい」と話し、自分が難民には当たらないという認識を示しました。

ミャンマー中部の町出身の20代のこの男性は、技能実習生として東海地方の工場で働いていましたが、同じ工場で働いていた仲間のミャンマー人が次々と失踪していくなか、ことし2月に職場を去り、難民申請したということです。

男性は現在アルバイトを2つ掛け持ちして朝から深夜まで働き、毎月、実習生のときの3倍に当たるおよそ30万円を稼いでいるということです。

男性はNHKの取材に対し、「実習生のときは手取りが10万円を下回るときもあった。もっと稼げると思って来日したので、より稼ぐために難民申請した。申請の方法は友達に教えてもらった。日本でたくさん稼いだあとミャンマーに帰り、自分で商売をしようと考えている」と話し、より高い賃金を求めて自由に仕事を選ぶために難民申請したとしています。

外国人技能実習制度とは

「外国人技能実習制度」とは、外国人に日本で働きながら技術を学んでもらおうという制度で、現在、全国で18万人以上が建設現場や工場、それに農業や漁業の現場で働いています。

本来の制度の目的は、日本の技術を伝え、発展途上国の人たちの人材育成を進めることです。ただ、日本政府は去年決定した成長戦略で、国内の労働力不足を補うことなどを目的に技能実習制度を拡充する方針を打ち出していて、事実上、人手不足の業種を支える労働力の供給源となっていると指摘されています。

一方で、実習生が実習先の企業などを離れて失踪するケースが増え続けていて、その数は去年1年間だけで、これまでで最多の4800人余りに上り、大きな問題となっています。

背景には、実習生として働ける期間が最長3年と限られていることや賃金の未払い、それに違法な長時間労働の実態があると指摘されていて、海外からの批判の対象にもなっています。

このうちアメリカ政府は、世界の人身売買の実態をまとめた報告書の中で、日本の外国人技能実習制度は強制労働に悪用されるケースが後を絶たないとして9年連続で批判しています。

こうした批判を受けて、日本政府は、実習生として働く外国人の保護を目的に、実習生を受け入れる団体や企業を指導・監督する新たな組織を設置することを決めるなど、対策に乗り出しています。

日本の難民認定制度と実態

日本は、政治的な迫害から逃れた人たちを保護する目的で作られた国際的な難民条約に加盟していて、法務省の入国管理局が、条約で定義される難民に該当するかどうかを申請に基づいて判断します。

日本で難民の認定を求める申請を行った外国人は、5年前は1200人余りでしたが、去年は5000人と、難民認定の制度が始まった昭和57年以降、過去最多を更新するなど、ここ数年急増しています。

また、難民申請をした外国人のうち、技能実習生として来日した外国人からの申請も増え続けていて、去年1年間で414人と前の年の3倍以上、3年前の10倍近くに上っています。

一方で、難民と認定された人は11人で申請者全体の0.2%にとどまり、毎年、数千人規模で難民を受け入れているヨーロッパ各国などと比べると、日本の難民認定は厳しいとの指摘があります。

これに対して、法務省は「就労や定住を目的とするなど難民の要件に該当しないケースが増えてきている」としています。

このため、法務省は先月、難民認定制度の運用を見直し、明らかに難民とは認められないような理由で申請した場合や、正当な理由がなく何度も同じ理由で申請する場合は、本格的な審査に入る前に判断を下して速やかに申請を却下するなど、対策を強化する方針を明記しています。